友人のI君からこんな電話があった。
I君「私の携帯の留守電にな、カメイケンジさんでしょうか、12日に支払われるはずの家賃滞納の件でこの番号に掛けなおしてくれ、って入ってたんだが」
ボク「は?俺は人生で一度たりとも家賃を滞納したことはない。さらにいえば、俺の事務所の家賃はそもそも12日払いではない」
I君「そうか、じゃあこれは一体・・・」
ボク「うーん、なんか怪しいな。どういう番号なんだ?」
I君「〇〇という番号だから多分大阪っぽい。なんとかプランニング、って名乗っていた」
ボク「ふーん、単なる迷惑電話か、もう一つ可能性としては我々の共通の知り合い、しかもお前の携帯番号を知っているやつだからお前の友達である可能性が高いが、そいつが勝手に我々の名前と番号を語って(家の)賃貸契約を結んでいるのかもしれん。でないと、名前が俺で番号がIってありえんだろ」
I君「そうだなあ。どうすればよい?」
ボク「とりあえず番号をメールで送ってくれ。ネットで検索して調べてみる」
最近は迷惑電話をかけてくる番号の多くはネット上に掲載されているので、I君から送られてきたメールの番号や「プランニング」と番号を一緒に検索してみたのだが、全然ヒットしない。そこでボクはI君によくありがちな事態を想定し、もう一度I君に電話を掛けなおした。
ボク「Iよ。会社名は本当になんとかプランニングだったのか?もう一度留守電を聞いてみてくれ」
その後のI君からの電話はボクの懸念をものの見事に現実化したものだった。
I君「ええと、会社名は〇〇・・・××といっていた」
ボク「ちょw 全然プランニングとか会社名に入ってないじゃないかw」
I君「いや、さっきはプランニングと聞こえたんだが・・・」
ボク「聞こえたもなにも、プランニングなんて単語、似たような言葉さえその会社に入ってないじゃないかw」
I君「まあ、私のことだからw。ブログ(このブログのこと)のネタが出来たから良かったじゃないかw」
ボク「・・・」
その後、またボクはI君から聞いた会社名を元に検索をかけて該当すべき会社を探した。もちろんのこと、今回もI君が言っている会社名は彼の聞き取り間違いの可能性が多分に秘められているため、考えられる似たような単語も含めて検索をかけたところ、I君が言っていた会社名に近いがちょっと違うそれっぽい会社がヒットした。
その会社のホームページを調べると、I君の言っていた番号とは代表番号は違うが、こういう請求会社みたいなのは取り立てに使う番号は非公開にしている場合が多いので、多分ここだろうとめぼしをつけさらにI君に電話した。
ボク「なんかそれっぽい会社があったぞ。ただ、Iの言っていた会社名とはまたちょっと違うけどな。しかもどうやらまともな会社のようだ」
I君「あれw?そう聞こえたんだがなあ。それで私はどうしたら良い?」
ボク「Iが電話したりするとガンガンに自分の個人情報とかしゃべってしまいそうだから待機で。とりあえず着信拒否にでもしとけ」
I君「わかった」
その後、ボク自身この件を放置しておくべきかどうか迷ったが、単なる間違い電話にしては、I君の電話番号に対しボクのフルネームを知る見知らぬ会社が存在する、というのはどう考えてもおかしいため、意を決し、ボクがこの会社に電話することにした。だって、この一件に絡んでいるのは間違いなく、ボクとI君を知るもののはずだから。
で、その会社に電話したところを要約すると、「(相手の会社側)カメイケンジなる人物は他県に一人いるがまだ携帯番号は登録されていない」「(相手の会社)I君の番号はカメイケンジという名前ではない人でコンピュータに登録されている」「(相手の会社)どう考えても間違った登録をコンピュータにしているようだ」「(相手の会社)というわけで本当にすみませんでした」ということであった。
また、I君の留守電に残っていた相手会社の担当者の名前によく似た名前の担当者は実際に存在することもわかった(まあこの担当者名でもでもI君は名前も少し間違ってボクに語っていたわけだが)ため、確かにこの会社からI君に電話をかけたことも間違いないことが確定した。
ただ、こんな説明ではなぜボクの名前がI君の番号でその会社に登録されていたという事実の謎は全然解けていない。相手の会社はカメイケンジなる名前の登録さえしていないと謝りながら主張するわけだが、登録されていないのに何でI君の携帯にボクの名前で問い合わせの留守電を入れていたのか説明がつかないのだ。
ただ、この電話の最後で担当者が少し気になることを言った。
担当者「カメイケンジ様ではなく、似たような違う名前等で(留守電に入って)はなかったですか?」と。どうやら個人情報保護の関係でボクには言わないが、相手の会社には似たような名前で登録されているような雰囲気だった。
まさか・・・。
ボクはすかさずI君に電話を掛けなおし、恐るべき事実の確認をI君に求めた。
ボク「というわけで、俺が電話しといたからIにこれからは電話は行くことはないよ。なんにせよ、Iが家賃滞納はありえないから(なぜなら彼は借りているどころか大家さんだからだ!)Iの携帯番号がその会社のコンピュータに誤って登録されていたことは間違いない。でな、もう一度確認しておきたいんだが、本当にカメイケンジと留守電には入っていたのか?」
I君「!私は5回ぐらい留守電聞きなおしたから間違いないよ。なんせ今日の午後4時44分に留守電が入っていてな・・・」
ボク「!! 4時44分?!言い換えればししし、つまり死死死!! 急転直下の展開で、まさか映画『着信アリ』的なホラー留守電か?」
I君「!」
ボク「もしかして携帯の呼び出しもお前が設定していないような聞いたことの無い着メロ(映画『着信アリ』は自分の設定していない着メロがなる)じゃなかった?」
I君「いや、仕事中だったもんでバイブにしてて無音」
ボク「お前は話の詰めがあめえよ!!」
というわけで豪快に話がそれた後、こんなことがあったってことを妻に話すと一言。
妻「I君のことだから、I君が名前を聞き間違えたんと違うかな」と。
ボクが確認したかった恐るべき事実はまさに妻が言ったことと同じことであり、つまりはI君は、実際には似たようなでも違う名前を聞いているのに、それをボクの名前に脳内変換してこの一連の騒ぎをおこしたのではないかということである。
だとしたら本当に怖いのはやはりI君の・・・
(完)
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